「あんな小さな家で…」と久我様はボヤいているが、辻堂の海岸脇で、周囲には家が点在しているロケーションなんて、今観ると死ぬほど贅沢という感じ。また軽井沢ロケのシーンも多く、自然の息吹に満ちた背景の美しさが楽しめる。
脚本はネオレアリズム調の社会派ドラマで、チョイ役程度にも人気俳優がズラリ。またホームドラマとはひと味違うサスペンス要素もあり。『道連れ覚悟の当たり屋』なんて発想、映画にするのはこの監督ぐらいではないか。
カメラが時々、思い出したように寄るオーソドックスな映法だが、クライマックスには相応の迫力を感じた。