まるまるまる

2046のまるまるまるのレビュー・感想・評価

2046(2004年製作の映画)
2.7
村上春樹がよく主人公の忘れ得ぬ人が、登場人物たちの心の中の闇や(その忘れ得ぬ人そのものの心の病も含む)または、外的な他者により自らもしくは、他者により奪われるストーリーを書いている。ただ村上春樹は、その際に、その忘れ得ぬ君が亡くなってしまったという直接表現ではなく、居なくなったという表現を用いる。それは、何かの事情によりここではないどこかでその人が生きているかもしれないという希望の話でもある。それはどこか、けして忘れ得ることの出来ないかつての恋人を忘れ、新しい日常を手に入れる作業に似ている。この映画の登場人物たちは、主役のチャウを中心に皆過去の想い出から逃れられない人々である。とてもセンチメンタルな映画で、本当の優しさとは、ひとを愛する覚悟とは、、、なんていうことを考えさせられる。
まるまるまる

まるまるまる