SaitoTsuyoshi

早春のSaitoTsuyoshiのレビュー・感想・評価

早春(1956年製作の映画)
4.1
ほとんど出てこない笠智衆演じる小野寺さんの台詞がシンプルでとてつもなく心に刺さる。
「間違いはお互いが努力をして小さいうちに片付けろ」
キャンセルカルチャーが横行するこの世の中で、人間はいつの間に間違いを許すことを諦めてしまったんだろうと思う。
「やっぱり女房が一番アテになる」
そんな冷めた台詞を、ボートを一生懸命漕ぐ学生を見ながら、人生の諦念を現実に突きつけ、嘗ての仲人はこの台詞で間違いを起こしてしまった主人公にエールを贈る。
「色んなことがあって、だんだん本当の夫婦になるんだよ」
つまらないことにこだわって、これ以上不幸になってしまうのは他でもない当事者だけ。他人のことなどほっとくに限るんだなと思った。