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悲しみよさようならのSPNminacoのレビュー・感想・評価

悲しみよさようなら(1990年製作の映画)
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はみ出しっ子少女(ウィノナ)のカミング・オブ・エイジ・ストーリーであり、ホームタウン・ヒーローもの映画。
序盤で大スターのロキシーが田舎町に帰郷することで広がる波紋を、たっぷりと積み重ねる。ロキシーに未練を残す元夫(若きジェフ・ダニエルズ)とその現妻、ウィノナと同級生のほのかな恋、ウィノナと養親、そしてウィノナとロキシーの関係…盛り沢山だが、ロキシーその人はなかなか顔を出さないのが良い。最初から最後まで、それぞれの夢や願望を託したピンク色の偶像。ロキシー自身が街を捨て夢を追ったように、みな自分の居場所を探しているのだった。
ボザボサ頭で黒ばかり小汚い格好のウィノナは、生まれたばかりの自分を捨てた(と信じてる)ロキシーの真似して少しずつピンクを身にまとう。まあ元から可愛いんだけど(むしろボサボサの方が可愛いけど)、まさにプリティ・イン・ピンクの変身。彼女を思う彼も可愛い。矯正具!
とはいえ、90年代はまだティーンの物語だけではなく、大人たち群像劇の趣も濃い。そんな時代だった。でもこの映画、結構クィアなエピソードや場面を織り込んであるのが面白い(なんかウィノナもそういうニュアンスが不自然でない感じだし)。ウィノナを理解する女性スクール・カウンセラーがテーブルの下でギュッと握る手、かつてロキシーを愛した女性とそのクローゼットな恋人。自分らしくいられる居場所がないのはティーンだけじゃない、そんな存在を意図的に示してある。ただ、その辺は結末にももうちょっと何かあれば良かったな。
しかし、冒頭の若いロキシーを演じてたのがカーラ・グギーノだったとは!(可哀想に顔が映らない!)
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