カント

マディソン郡の橋のカントのレビュー・感想・評価

マディソン郡の橋(1995年製作の映画)
3.8
R35。35歳以下の人が見ても響かないであろう大人のラブストーリー💡
「生涯にたった一度の確かな愛」

アイオワ州の農場の一介の主婦フランチェスカ(メリル・ストリープ45歳)と、ナショジオ※のカメラマン、ロバート(クリント・イーストウッド65歳)の4日間の愛。
※ナショナル・ジオグラフィック誌の事。愛読者は略してナショジオと呼ぶ。私も愛読してます😄✌

▼母フランチェスカが亡くなった。
遺言には「ローズマン橋から遺灰を撒いて欲しい」と。息子マイケルは憤慨。お墓参り出来なくなる!
そして遺品として出てきたのはロバートからのラブレターと4日間の出来事を克明に綴った3冊のノート。

▼牛の品評会で、夫リチャードと子供達が4日間も不在に。
1人で退屈していたフランチェスカの元へ訪れたのはカメラマンのロバート。屋根付き橋を探していた。

【ローズマン橋について】
屋根付きの橋の一番の目的は、木材の腐食を防ぐ事。風雨に晒されても橋の木材は濡れずに長持ちする。
それ以外にも住民にとってはランドマークであり、格好の雨宿りスポットであり、ロマンスが生まれる愛すべき場所でもある。

橋の袂の野辺の花。
ラジオから流れるブルース。
吠える黄色の犬。
冷えたアイス・ティー。
フランチェスカが一瞬でロバートにエロスを感じ、愛するに至る過程が素晴らしい😌

イタリア出身の戦争花嫁のフランチェスカ。やり甲斐のある教師の仕事を辞めて、夫の言葉に従い家庭に入る。平凡だけど優しく愛してくれる夫に不満は無いし、子供達も良い子。
今の生活を捨てる気持ちも無ければアバンチュールを楽しむ気持ちも無い。近隣の住人は親切で協力的。

ただ……フランチェスカはアイオワの変わらない空気に倦んでいたのかも知れない。
日常に我慢しているつもりは無いけれど、どこか自分に対して憐憫(れんびん)の気持ちが有ったのか。それを気付かせてくれたのがロバートだったのでしょう。

▼母フランチェスカの不倫の事実を知った息子マイケルは妹に言う「母親に性欲なんて有ってほしくない!」と。

【女性の性欲について】
息子マイケルが“母親の性欲”を否定したいのは、単なる願望で、妹から「いつまでピーターパンなの?」とツッコミを入れられてます😄
日本には女性の性欲を表す言葉で……
三十させごろ、四十しごろ、
五十ゴザかき、六十ロクに濡れずとも、……と言う金言が有ります。
女流作家の宇野千代が“女性の性欲”についてのインタビューで、無言で火鉢の中の火箸を掻き回したのは有名で、その意(こころ)は女性の性欲は「灰になるまで」なのです。

▼フランチェスカとロバート。客観的に見れば本作に登場するルーシーと同じく不倫ですが…不倫は善悪で判断できるのか。その愛は高潔か否か。浮気か本気か。夫リチャードに対しての裏切りか、はたまた誠意か。

▼ラストシーン。トラックのバックミラーに掛けたフランチェスカのネックレスが切なかったです😢
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