おーつ

桐島、部活やめるってよのおーつのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.9
彼らと同じ年齢で学校という自意識と偏見が渦巻く階級(カースト)社会に属している私(おーつ)にとって、ラストの秩序、世界の崩壊は美しさというより気持ちよさすら感じました。

恐ろしいほどリアルで具体的な会話劇。
そこにははっきりとあるわけでないが、確実に存在する校内格差を描いています。
それをどの人物も主人公として捉えられるので、人それぞれ思入れするキャラクターがいるのではないでしょうか。そしてあの世界には「自分」がどこかにいるんじゃないかとすら感じてきました。
このアプリをしている方だとやはり映画部の神木隆之介に肩入れしたんじゃないでしょうか?

「ロメロくらい観とけ!」とセリフであったのですが、
私も教室の中で自分の好きな映画を、全く映画を知らない人たちがバカにしたような発言をすると
「お前らに良さがわかってたまるか」って心の中で思うことがあります。
そんなこと絶対に言えないけど笑
まぁ、好みなんて人それぞれですもんねー。

でもこんだけ具体的な作品なのに、一度も桐島が登場せず
影響力がある人間がいなくなった事による、普遍的なテーマが描かれているんですよねー。
それによってこの階層社会は崩壊を始めます。

映画のラスト、
桐島が部活を辞めた事による影響が、全く関係がない最下層に近い映画部たちにも影響が及びます。
そして学校の階層社会は完全に秩序を失う。

この場面がもう、
普段から社会の微妙な格差を嫌う私にとってはとても気持ち良い美しい映像でした。

完全に私は映画部目線で観ましたが、次に東出昌大演じる校内の人気者で彼女もいて、野球部も練習には参加しないのに試合には呼ばれ活躍する広樹を中心に観るとまた違った印象になりました。

吹奏楽部の女の子を中心にみても、いやその後輩を中心に捉えてもこの映画はますます面白くなっていきます。

まだ3.4回しか観てないのですが、注目ポイントを変えながら何度も観れる非常に素晴らしい映画だと思っています。
邦画をあまり観ない私ですが、この映画は傑作だと思っています。
おーつ

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