高校生の私には、ものすごく刺さった。
高校のリアルな風景、人間関係、恋愛が本当に、気持ち悪いくらい上手く表現されていて、観てて心が締め付けられる。
この『桐島』という学校内の人気者が、突然校内から、姿を消し、そのせいで学校内での人間関係が崩壊するという、なんとも意味の分からない話で、話としては、シンプルだった。ただ、この映画の重要なところは、話とかではなくて、隠されたメッセージ性だと思う。
高校には、勉学や部活に励む人、恋愛を楽しむ人、夢を追いかける人、などなど様々な人がいる。この物語の主人公の前田は、これらのどこにも当てはまらない人物で、ただ映画を撮るのが好きな陰気な男の子、という感じで、青春学園モノの映画には、主人公としては使われないタイプの人物だが、この映画の主人公は、前田しかいない。今作の人物は、一人一人が色んな考えを持っていて、その捉え方の反発や、嫉妬心、裏切りなどが、学校という場所で、グロテスクに表されている。
学校という場所は怖い。私も現役高校生だが、本当に、この映画に出てくるような性格の人はいそうだし、女子の裏の会話とか、本当にリアル。現実味があって、いい意味でキモイ。
冒頭で言ったメッセージ性とは、こんな気持ち悪い環境の中にいても、ずっと平常心でいられる人が、1番生きやすいという事。主人公の前田は、桐島がいないという大ニュースを聞いても、周りに左右されず、挫折を味わったとしても、ずっと自分の意思を曲げなかった。その結果、前田だけが、最後には笑っていた。他の人は、悲しい表情を浮かべる。
賛否両論ある作品らしいけど、私にはグサッと刺さったモノがあったので、5をつけた。
私の生涯に残る作品。
