ロッツォ國友

桐島、部活やめるってよのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.2

『戦おう。ここが俺たちの世界だ。
俺たちはこの世界で生きていかなければならないのだから。』



桐島ぁぁぁぁぁ!!!!
吉田大八さんをFan!登録までしてるけど観てなくてすみませんでしたぁぁぁ!!!!!

…もう観たので、今後はリアルタイムで観たような顔して生きていこうと思います←



放映から6年、今ではとんでもない有名人となった若手俳優若手女優がかなり雑多に放り込まれてる印象を受ける。
松岡茉優ちゃんがちょい役ですよ!?
すんごいスピードで出世したのかこの人!?
ていうかこんな顔だったっけ!?w

こんなもんかもしれないけど、高校生を描いた映画にしちゃどーーも大人びてる役者ばかりで、セリフもなんかもっさりしてなくもない。
が、生活感のある小道具の数々や校舎の雰囲気といった舞台美術的要素と、そしてキャラクター同士の言葉にならない関係性の描写には、堪らなくリアリティを感じた。


これは完全に邪推なのだけど、
高校生のクセに高校生らしからずゾンビものを撮りたい映画部の面々と、
大人のクセに大人らしからず高校生ものを撮ったチーム吉田大八の面々はイイ感じに対比している。
だから、上述したようなビミョーに高校生になり切れてない雰囲気の本作も、それこそ変にこだわって8ミリカメラなんぞで映画を作る高校生映画部の作品を観るように楽しめば良かろう、と思った。

前田君は、吉田大八さんの投影なんだろうね。
でも全然クサくなかった。すごくグッときた。



誰もが羨むスター「桐島」の不在が予測不能な波紋を広げてゆくさまをただ眺る。
思えば、人格形成が済んだような済んでないような多感な時期の高校生達を沢山掻き集め狭い建物にブチ込む「学校」とは、なんてイビツな場所なのだろう。
この距離感だからこそ、息遣いも目配せも表情も、一つ一つが意味を持ってしまう。
目まぐるしく変わる関係性に落ち着く暇もない。


本作最大の魅力は、この狭すぎる世界の中でもがく高校生達の触れ合いとぶつかり合いを、彼らの気だるさそのままのテンションで描き切ったこと。
高校生の日常を描いたストーリーと言えば、夢とか、恋とか友情とか、そういうのがメインになる事が多い気がする。
でもそれはある意味、大人が自分達の過去を大人の価値観で後から綺麗に整理して現像した「思い出の高校生像」であって、実際を生きている彼らにはもっと違って見えてるんじゃないだろうか。

恋と言うほど燃えておらず、愛と言うほど熟していないし、友情と言うほど結束もしていない。
毎日、名前のつけられない感情と関係性がひしめき合い、されどそれは形を持たないまま漂うのだ。
この感じを、大人の価値観で捉え直さず、名前もつけないままそのまま映像にしたからこそ、例え役者の演技がビミョーにしか見えなくてもリアリティに溢れていると思えるし、そのなんとも言えない感情の表出がとても愛おしい。


毎日が留まることなく、どこに向かうともなく生きている彼らは、一見何気ない風景に溶け込んでいるように見えて、実は一人一人に複雑で大切な世界があって、一生懸命にやっていて、そして時折、人知れず残酷な現実に押し潰されそうにもなっている。
こんなにも狭い世界で、毎日生きてる。
代わる代わる繰り返す曜日に翻弄されながら、色んな奴を邪魔して、色んな奴に邪魔されながら生きてる。

個人的に演技が気になるのでキャラクターそのものは"リアルじゃない"けど、しかしこの、ゴチャゴチャしたみんなの日々がひしめく感じは物凄く"リアル"だったと思う。


でも本作のテーマには「青春」とか名付けたくないですね。
高校生が一生懸命生きてる。それを表現した映画。
それで良いんじゃないでしょうか。
感服しました。



つー感じでしょうか!
日本語がうまくないので映画の良さを言葉にできない事はよくあるのだが、これについては、うまく言い表せないくらいが良いような、そんな美しさがある気がします。

もう映画通の皆さんはとっくに観ていて当たり前クラスの作品かもですが、まじ面白かったっす!
大人の方が楽しめるかも?どうかしら。
ごっつぁんした!
おまたー!
ロッツォ國友

ロッツォ國友