purigoro

桐島、部活やめるってよのpurigoroのネタバレレビュー・内容・結末

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

(※星☆は自分の中の付け方。特筆すべきものじゃなかったら、☆0。☆がついているものは全て良かった映画。細かく星をつけていくと大変なので、低評価のものは☆無し。)

ざわざわしてて面白い。
最後まで桐島が出てこないところもミソ。
そして若手の俳優さん女優さんたちが活躍していて、元気をもらった。みなさんの今後に期待…!!

高校を卒業して年数が経っている人が見たら面白いんだと思う。現役の高校生がどういう感想を持つのかが気になった。

バドミントン部の橋本愛さんと、映画部の神木隆之介くんの関係性がなんかぐっときた。見ている人によって色んな感想を持つんだろうなぁと。「ひとつの大きなテーマがあってそれの本質や概念についてとことん考えさせられる映画」というよりは、もっと色んな問題や題材や感情が至る所に散りばめられていて、場面場面によって色んな人に感情移入出来る映画だったと感じた。

高校生のときに明らかにある特定のヒエラルキーに属していた人は、もしかしたら「イケてる組の男子たちやリサ・サナ(松岡茉優)」とか、「映画部」とかにだけ共感するのかもしれないけど、多くの人が、(自分も含めて)たぶんどっちでもない普通のところに属していて、どっちの気持ちも分かるから、色んな登場人物に感情移入出来て、その分、始めから終わりまで心を動かされっぱなしなんじゃないかと思った。

まぁただ、吹奏楽部部長にはあんまり感情移入出来なかった。というか全然出来なかった。というかすっごくイライラした(汗笑)。「こっちは映画撮ってんだから場所移動してあげなよ! 1日くらい見れなくたって良いじゃん! てか違うところから見えるとこ探せば良いじゃん!」と。なのでそのイライラを押さえるために、「いや、きっとこの子にとっては1日でも譲れないポイントなんだ。これがきっと彼女にとっては少しも欠くことのできないものなんだ」と必死に自分自身に言い聞かせた。まぁ百歩譲って、高校生位の年頃って、こういう恋愛に限らずとも、自分だけのやりたいこととかこだわりとか自分の気持ちとかが1番大事で、そこしか見えてなかったりするもんなのかな、と。それこそ映画部顧問の先生の台詞にあった「半径1m以内の世界」なんだろうな、と思って、気持ちをなだめることにした。

「学校」という、誰もが必ず通る場所が舞台なので、色んな人がそれぞれの想いを抱くことが出来て、それ故に幅広い年代の多くの人の間で反響を呼んでいるんじゃないかと思った。その「学校」の世界の描き方が凄く上手いので。

色んな問題提起もされているけど、それだけではなくて、隕石の話とか、タランティーノの話とか、他にもくすっと笑える面白いシーンも結構あるのが、シリアスになりすぎず良かった。単純に、「移動教室とかめちゃくちゃ懐かしー!!!!!」とか思ったり「放課後小テストのやり直しとかさせられてちょっと部活に遅れて行ったりしたわー!」とか思い出したり。

最初は神木くん(映画部:前田)は、まぁイケてない組だけではあるけど、イケてる組男子をそんなに敵視していない感じで、少しは溶け込みたいという様な感情も無くはない感じに見える。
それに対し、映画部で神木くんの親友である前野朋哉くんは、臆せずイケてない組にどっぷり入り、むしろそこで存分に楽しんでいるように見える。なので彼はヒエラルキーに対して敏感で、イケてる組に対してこっそりだけど敵意むき出しで、要所要所の彼の言葉に爽快な敵意むき出し感が感じられて面白い。

例えば、サッカーの授業のあと、イケてる組の男子が「俺は得点王を狙ってたのに〜」みたいな発言をしていたら、それを前野くんが聞いていて、後ろでこっそり神木くんに言った台詞など。

以下、そのシーン。
==========================
前野 「ジェーリーガーになるわけじゃないんだから、得点王狙っても意味ないだろ。いくら得点取ったって不毛さ」

神木 「直接言ったらいいだろー?」

前野 「嫌だね。ずっと不毛なことさせてやる。」
==========================

⬆笑。。。ひねてくれてるけどちょっと頭良い。そして、そんなことを後ろで言われているともつゆ知らずのイケてる男子たち。笑。
イケてる男子たちは、単純で子どもっぽくて、ちょっと愛らしい感じもする。


次に、「屋上で撮影したいから、サックスを練習している場所を違う場所に移動して欲しい」と、神木くんを筆頭に映画部が吹奏楽部部長に交渉するシーンで、前野くんが神木くんにこっそり言う台詞。
==========================
   ―――交渉前―――

前野 「(相手は)吹部だろ? 同じ文化部。いける。」

   ―――吹奏楽部部長に断られる。―――

前野 「あいつ絶対吹部の方が偉いと思ってるよ。」
==========================
笑。


始めは、周りの人ともそんなに距離感を置いていない感じに思えるし(多分前野くんだったら、サッカーのフリーパスをしようとも思わないと思う。そして前野くんだったら橋本愛ちゃんと話しても嬉しいとは思わないんじゃないか?)、映画に関してもややどっちつかずの神木くんだが、そんな神木くんの背中を親友の前野くんが押すことによって、最後の屋上のシーンでの神木くんの行動につながっていく。なんか男の友情もあるし、「どんな相手でも言いたいことは言う」という男っぽさが最後には神木くんに出て来ていたところも良かった。

そして最後にヒロキ(東出昌大)がそんな神木くんのところに行って話すシーンがちょっと泣ける…。どっちがかっこいい男なのかって考えちゃう場面。

女子があからさまにヒエラルキーを見せつけるような発言や行動があるのに対し、男子同士はそんなにこれといってイケてる組がイケてない組に対して特別嫌な発言とかをしている訳ではないというところもリアルで面白かった。なんというか、男子のイケてる組は、嫌な人たちではないんだよね。

映画部の前野くんが神木くんに「昨日、満島ひかりに会った(夢で)」というシーンが冒頭にあるが、あれは原作の小説でも「満島ひかり」さんなのだろうか? 個人的に満島ひかりさんが大好きなので、映画に際して監督がその台詞を入れたのか、原作から「満島さん」だったのか、気になった。それにしてもさすが映画オタクの前野くん。満島ひかりさんを出すとはなかな良いセンスしてますな。と、役中の前野くんに語りかけてしまった。
purigoro

purigoro