ボブおじさん

ローマの休日のボブおじさんのレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
4.2
カゴの鳥の王女様の身分を超えた初恋と冒険をローマの観光名所を次々と登場させながら描いた大人のおとぎ話。

この映画でオードリー・ヘプバーンは、アカデミー賞主演女優賞を受賞。彼女の小鹿のような顔立ち、可憐な美しさは、世界を魅了した。

世界中で愛される映画だが、日本ほどこの映画が好きな国もないだろう。特にヒロインのオードリー・ヘプバーンの人気は今もなお継続し、定期的に雑誌やテレビで特集が組まれたりCMに使われたりしている。

セクシーではないが、清らかで優しく、気品があって美しい佇まいが、性別問わず日本人に受けたのだろうか。

韓国映画「怪しい彼女」でも若返ったヒロインが美容院に入ってヘプバーンのようなショートカットにしてもらうシーンがあるので、韓国でも根強い人気があるのだろう。

ただし、この映画はヘプバーンの人気に頼ったアイドル映画では断じてない。日本ではヘプバーンの映画のように言われることもあるが、この作品が今でも名作と言われる最大の要因は〝テイク90の男〟(納得するまで何度でも撮り直す)と呼ばれたウィリアム・ワイラー監督の徹底した映像への拘りとダルトン・トランボによる優れた脚本にあると思う。

ダルトン・トランボという人物の波瀾万丈の人生については「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」と言う伝記映画があるので興味のある方はそちらをご覧いただきたいが、この映画史に残る巨匠(アカデミー賞監督賞を3度受賞)と悲劇の天才脚本家(偽名でアカデミー賞を2度受賞)の力がなければヘプバーンも輝かしいデビューを飾ることが出来なかったことだけは伝えておきたい。

とは言え、やはりこの映画はヘプバーン以外ではもはや考えられないのも事実。当初は大スターのエリザベス・テイラーが想定されていたそうだが、だとすると全く違ったテイストになっていただろう。

身分違いの2人がイタリアの街中や観光名所を歩いたり、ベスパに乗ったり、ジェラートを食べたり、髪を切ったり、カフェでくつろいだり、ギターで頭を殴ったり(^^)。名シーンのオンパレードのような映画だが、個人的には、ラストの目と目での別れのシーンが心に残る。