ユーレイの夢の野球!
父子の絆を描く名作ファンタジー。
父親像は日米で多少の差異があると思う。
大黒柱で威厳を保ち社会に目を向けながら、それとなく家族を見守る昭和の父親像。
どこぞの居酒屋のトイレに「親父の小言」なる説教集が掲げてある。
火は粗末にするな。
人には腹をたてるな。
恩は遠くからかへせ。
人には馬鹿にされていろ。
年忌法事は怠るな。etc.
これは私の故郷、相馬藩のとある坊主が書いた物で、家族は顧みないくせに(笑)人にはとやかく言う父親の良い面と悪い面が現れている。
対してアメリカの父親像は家族を守る意識が日本の父親より優先している気がする。
家族だけで長期間、夏期休暇を共に過ごすのも日本では見かけない。
だから父親への信頼感と距離感は、アメリカの方が親密なのか。
(あくまでもイメージです)
本作の主人公レイ・キンセラ。
アイオワの広大なトウモロコシ畑で天の声を聞く。
『それを作れば、彼はきっと来る』
それって何だ?彼って誰だ?幻聴の後に、幻覚が。畑のド真ん中に野球場が見える。
レイの憧れの野球選手「靴なしジョー」
八百長疑惑で晩年は不遇の人生だったジョー。
レイは天の声を信じて、妻アニーの理解の元、野球場を作る。
畑を潰し、近隣の仲間達にバカにされながらレイとアニーは、ナイター設備完備の立派な野球場を作り上げた!しかし「彼」は来ない。
トウモロコシの収穫高の収支を計算して、経済的苦境に立たされた時…
彼は現れた!真夜中に、ユニフォーム姿で。
彼の名はジョー・ジャクソン。通称靴なしジョー。
そして、また天の声。
「彼の痛みを取りのぞけ」
天の声の真意と、その声の主の正体が明らかになる時…
レイは静かにキャッチボールを始める。
天真爛漫で快活に、レイの背中を押してくれる妻アニーのキャラクターが、とても良い。
父を亡くした方に見て欲しい名作。
※原田マハ著「キネマの神様」のゴウちゃん、ローズバッドに対抗して(笑)父親像を対比してみました。