まつこ

夜の女たちのまつこのレビュー・感想・評価

夜の女たち(1948年製作の映画)
5.0
女に寄り添う溝口作品が好きなんだなぁと改めて思った。

戦後の混乱に堕ちていく女たち。
これでもかと冷たく描くのに、少しの希望や祈りが込められているように感じた。

バカにしないでよ!と突っぱねていたのに、男に騙され、寝取られ、生活のために自分を売る女たたち。何処かで後ろめたさを感じながらも意地だけで這いつくばって「男という男に病気うつして復讐したんねん!」と叫ぶ立ちんぼの田中絹代が最高。

ヤケになるんじゃなくて、女性みんなが幸せになる世の中にしないと自分だけじゃなく女を不幸にするんだよと言う院長とラストカットが印象的。西成の町がこのどうしようもなさを絶妙に感じさせる。

あなたを不幸にしたのはあなただと突きつけるんじゃなくて、ダメな男だったり、そんな男をつくった社会なんですよと真面目な顔で淡々と答えてくる溝口健二。

現実の残酷さに目を背けたくなったり、正論というか目線が厳しい溝口を好きだと言えない日もあったけど、「あっ、この人やっぱり好きだ。」とじんわりと思った。
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