落伍者

私が棄てた女の落伍者のレビュー・感想・評価

私が棄てた女(1969年製作の映画)
4.0
浅丘ルリ子じゃなくて小林トシ江の話だった。河原崎長一郎には機会はいくらでもあった筈なのにその度、棄ててきた同じ田舎者の小林トシ江(彼女は何度も殺される)の他にも、時流(学生運動)には背を向け、故郷の母親と弟も見捨ててきたことへの後悔が深層心理となって終盤の夢(幻想?)に出てくる。高度経済成長期だからこその話とも思ったが、今だって彼のように出世の為、こんなことしてる人はいくらでもいそう。でも悪人にまではなり切れない小市民的な役が本当にハマり役。今、リメイクしたら中井貴一とかが演りそう。爪痕を残し、一生互いにわだかまりがとけることなく生きていく、呪いのようなラストも最高。
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