レッドアップル

白夜のレッドアップルのレビュー・感想・評価

白夜(1971年製作の映画)
4.2
ドストエフスキーの描く自意識と、もともと画家であったブレッソンの自意識とが混ざり合った作品。
いきなり部屋に上がり込んできた男が描いたあの絵のシミのように、ジャックの自意識はちっぽけだが力強く存在している。そしてその外側には世界が広がっていて、彼女がいる。
恋愛という型を借りた内と外についての話。そしてそれは映画についての話でもある。
劇中のギャング映画で行われていた演出は、この世のほぼすべての映画が犯した過ちを簡潔に表している。見世物としての暴力と添え物の音楽。
ジャックとマルトが聞こえてくるヒッピーたちの演奏に必ず耳を傾けるあの執拗さは、ブレッソンが劇伴に対して感じる嫌悪が原因なのだろう。