私の中に北野映画ブームが来てます。
なんて残酷な映画なんだろう。
いつも一緒に学校に行っては問題を起こしていた18歳のマサルとシンジ。
ある日、ボクシングに目覚めた2人は、練習に没頭するようになるのだが…。
大人に搾取され振り回される弱く未熟な若者たちを主軸にした青春群像劇。
青春の光と影を描き時代背景も抑え普遍的なテーマも込められている本作は、名作だらけの北野映画の中でもトップを争えるだけの奥行のある内容になっていると感じる。
様々なタイプの若者たちの人生を2時間ほどで描いてしまう北野武の圧倒的センスの高さ。
感情で動いてしまう人間、
孤独から仲間を求める人間、
主体性が薄く自我が見えない人間、
搾取する側、される側。
どれも現代に合ったリアリティがあり共感できる部分が多くある。
散々振り回され、結局のところ何一つものにならず高校の頃のまま同じ地点にとどまっていた2人。
始まってもいないから終わりもない。
スタートラインにすら届いていないというラストには、現実の厳しさを叩きつけてくるような感覚に陥る。
全てを語らず観る側に解釈を委ねる北野映画のスタイルがどタイプ。
映画として成立している。
逆に最近のものは何でもかんでも語りすぎなのだろう。そうに違いない。
私が今、青春映画ベスト10を作ったとしたら必ず本作が入ってくるはず。