So

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のSoのレビュー・感想・評価

4.1
列車で偶然声を掛け合ったパリとアメリカの男女が、一日だけウィーンで降りて翌日の朝までデートするって映画。
惹かれ合う気持ちをどんどん高まらせながら、過去、考え方、悩み・・・会話を重ねお互いの個性の奥深くへと理解の階段を降りていくシーンの積み重ねはすごく素敵で、恋愛の1ページ1ページを丁寧に書き込み、ゆっくりとめくっていくよう。

ウィーンの街中を冒険する二人がとてもキュート。いろんな場所で繰り広げられる二人の会話によってだんだんと二人の距離を詰めていく展開は、まるで自分がその相手のように疑似体験していくようなドキドキを感じさせる。

半年後の再会を誓い合って二人が別れた朝、何も変わらず動き出すウィーンの美しい街並み。
映画はそれぞれのホームに帰る車内と機内の二人で終わる。

一人になった瞬間に虚しく冷めていくのかも。
半年後一方が純愛を信じ、裏切られるのかも。
映画のようにハッピーな再会を果たすのかも。

それは観る人の希望や価値観に委ねられているという建前で終わるのだが。

ひとつ、映画のセリフの中ですごく残ったものがあった。

「環境のほうが人間よりも強いの。人間は移ろいやすいのよ。束の間の存在ね。」

そこに映し出される展覧会ポスターの絵。背景に溶け込む人間の絵は、何かこの映画全体をシンボライズしているように思えてならなかった。

きっと、そこに半年後の答えはあるんだな、と。
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