Takuma

学生野郎と娘たちのTakumaのレビュー・感想・評価

学生野郎と娘たち(1960年製作の映画)
3.8
最初
「そうそうそう、こういう白黒時代の、
戦後10年20年くらいの昭和の人々の生活様式や
価値観、風俗を垣間見れるような作品、好きなんですよね〜、学生のドタバタ青春コメディかな?」
くらいの軽い気持ちで観てました。
確かに全体を通して軽めのタッチで、
クセの強い登場人物による活弁士の口上にも似た饒舌で滑らかな会話劇に笑わされはしましたが、
扱っている内容と展開は割とシリアスだと思います。
学生運動や無心する苦学生の差し迫った切実な暮らしなど
時代背景が重要な、リアルタイムで観た方が味わい深い作品ではあったのでしょうが。
痛烈な社会風刺ともとれる「大学の劣悪な環境」の描写に関しては、
60年以上過ぎた現代の日本に置き換えてもそれ程違和感なく受け取れるメッセージになっており、時代を超えた切れ味の鋭いシニカルコメディとでも呼べるものです。
むしろ学長の就任挨拶でカントの引用に気付ける意識の高いガリ勉学生は生き残っているのでしょうか、、、、学生たちの学力向上に努めさせたかった学長の目論見を考えると、
事態は悪化の一途を辿っているようです、、、
(選別してふるい落とすような方策に対する是非の議論も別にありますが)
いち当事者だった身としてもそう感じざるを得ません
大学に通う、ということの本来の意味・意義はより希薄に。
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