土屋ノリオ

泥の河の土屋ノリオのレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
4.3
「名作の再鑑賞」キネマ旬報1981年1位、アカデミー賞外国語映画ノミネート

戦争の傷跡を残した大阪を舞台にした人情ドラマ。すべての役者が素晴らしい。父親の田村高廣は虚無感を漂わせ、母親の藤田弓子はやさしさが滲み出る。あのスピルバーグが来日した際、「子役に対する演出が素晴しい」と小栗監督に伝えた3人の子供たちの演技。その中でもたった6時間で撮影したと思えないほど加賀まり子は、画面を釘付けにするほどに妖艶。見てはいけない姉弟の母の一面を見てしまった哀しみ、そして別れのシーン。少しずつ薄らいでいく昭和の匂いが、本作の中では溢れだし、いつまでも余韻の残る名作。(DVDレンタルには無いですが、最近はNetflixで観ることができます)
土屋ノリオ

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