もっぱらパーフェク斗

泥の河のもっぱらパーフェク斗のレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
3.5
戦後すぐの大阪を生きる子供にスポットを当てた、小栗康平監督モノクロ映画。原作は宮本輝。戦後の貧しいながらも気丈に生きる主人公の家族と売春をして生活を送る母を持つきょうだい。3人の子どもたちの心情表現が痛々しいほど伝わってくる。少年時代に感じた、大人の言動に対応出来ない時の無力感とか気まずさ、親の見たくない姿。ああいったものが本当によく描かれている。それらを乗り越えていって、成長あるいは麻痺していく感情の流れがこの作品に首尾よくまとまっている。小栗康平は高畑勲によく似ていると思う。人との触れ合いの距離の描き方とか、寡作な所とか。ステテコ腹巻きのお父ちゃんの人柄にやられてしまう。三丁目の夕日の裏側。嘘臭くない子役というのは稀有な存在だ。現在、小栗康平の5作品はレンタルDVDもなく、プレミアがついて5万円の値もつくDVDBOXを買う以外に鑑賞方法がないと思われているが、実はauの行っているビデオパスというサービスにて鑑賞できる(スマホからだけでなく、PCからも鑑賞可)。月額500円強で5作品を鑑賞してしまえば、TSUTAYAの旧作料金とそう変わらないわけだから、大分敷居は低い(配信終了日 2015年10月19日との記述あり)。auの回し者の様になってしまったが良い作品が手の届かないところにあるのはもったいないので、是非。