はっぴー

ダークナイト ライジングのはっぴーのレビュー・感想・評価

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)
3.0
恐れがあるからこそ人は生きられる

平和を取り戻したゴッサムに、ベインが現れ再び街を恐怖で支配しようと企む。ゴッサムのため、隠遁生活を続けていたブルースは、再びバッドマンとなることを決意する。

ダークナイト・トリロジーと呼ばれた、ノーラン監督版バッドマン3部作。本作はその最終作に当たるが、個人的には3作の中で1番微妙な作品だった。
まず、話の展開に魅せられなかったこと。ビギンズにあった伏線回収もなければ、ダークナイトであった予想できない展開へのドキドキ感も本作にはなかった。そのため、160分という上映時間が、体感として”長く”感じてしまった。
次に、ラストがあっさりしすぎたこと。中盤までゆっくり進めすぎたせいか、終盤は駆け足気味。バットマンの正体や事件後など、個人的に大切だと思った部分なので、その部分はもう少し余韻が欲しいと感じた。

↓以下、映画の内容を踏まえた感想
本作のテーマは、1作目でも描かれたブルースが抱える「恐れ」。今回ブルースが抱えるものは、死ねないことへの恐れ。バッドマンとして戦い続けた代償としてボロボロになった肉体、ゴッサムの平和のためにバッドマンを自ら封印し外部との関わりを断った生活、そして、最愛なる人の死。ブルースは生きることに意味を見出せず、死を渇望し、その手段となりうるバッドマンの復活に躍起になる。
しかし、死への恐れがあるからこそ人は予想だにしない力を引き出し、希望ある未来に進むことができる。死を恐れることは、行動や思考がうまく機能しなくなってしまう負の影響をもたらす印象だった。本作では、この恐れは生きていく上で必要な感情であることは語っている。これを命綱を交えた話で視聴者に腑に落とさせてくる感じは、流石の脚本だなと感じた。
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