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千羽鶴のchiyoのレビュー・感想・評価

千羽鶴(1969年製作の映画)
3.5
2015/2/14
何よりも、若尾文子演じる太田夫人の脆さとクネクネっぷりが印象的。元不倫相手の息子・菊治への依存を見ると、これまで彼女がどうやって生きてこれたのかと不思議に思えるくらい。そして、あんなに虚弱体質っぽいのに、ちゃっかりと菊治の元に馳せ参じる姿は、もはやコメディとしか言いようがない。そんな彼女と相反するのが、京マチ子演じるちか子。太田夫人への並々ならぬ執着は怖いけれど、社会的・道徳的には太田夫人よりもちか子の方がまとも。それでも、苛められる若尾文子、苛める京マチ子という構図が出来てしまうのは、両女優にその魅力があるからこそ。やっぱり、前者には狂気を帯びたエロスが、後者には独特の迫力がある。また、茶道という伝統に対して喧嘩を売っているかのように、茶室や茶道具は愛憎と情事に塗れている。それにしても、胸の痣に生えた毛を切るちか子がシュール。
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