夕

サッド ヴァケイションの夕のネタバレレビュー・内容・結末

サッド ヴァケイション(2007年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

helplessやユリイカで描かれた親の喪失、疑似家族による癒しのテーマは今作における健次の母親によって足元を掬われるような、致命的な揺さぶりをかけられたのではないかと思う
血縁や会社などにおける保守的な家族性に過去2作が築いたなけなしの温かさは完全に圧倒されてしまったんじゃないか
ただそんな結末が良かったとか悪かったとか、簡単に言えない、何か呪いめいていた気もするけど決して悪い結末ではないようにも思う
全く別の作品ならいざ知らず、連作となってるだけあって過去作も踏まえてかなり考えさせられる結論やった(ユリイカがめちゃくちゃ好きやったてのが大きい)
デカいトラック、イカつい単車、拳銃、鉄パイプ…男たちのアイテムには彼らの男性的権威を拡張するようなものがさまざま登場するけども女の方は言っても最後の着物くらいか、けれどもまあ女が強い
千代子が言うこちら(女)には子供がいるってセリフに感じる説得力の大きさが、これまでの健次の行いや復讐心、勇介の死のやり切れなさをどうしても増長させる
千代子による勇介の葬式でのセリフや健次に跡目を継がせようと必死な様子をみてると、子供たちのパーソナリティがかなり軽視されてるように感じる
この三部作で必要とされてきた母親、母性は本当にこんな形のものなのか
最後、でっかい冗談みたいな風船が取り立てにきたコテコテのヤクザたちの上で炸裂するコメディなラストが、なんだかそんな釈然としない千代子の勝利を、その物語の結末を茶化しているようにも思えてきた(多分これはぼくがそう思いたいだけ)
夕