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脳内ニューヨークのよのレビュー・感想・評価

脳内ニューヨーク(2008年製作の映画)
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主人公の言う「この世界に脇役は存在せず、皆がそれぞれの物語の主人公である」という哲学を、劇中劇の構造を使って(=主人公を演じる人物を劇中に複数用意することによって)映画の枠組みで表現する入れ子構造の面白みがいかにもなチャーリー・カウフマン節。ありふれたテーマを小手先でこねくり回した感は否めずとも、フィリップ・シーモア・ホフマンの持つ弱者男性感、鬱屈とした感情を抱え込んだまま発散できずにいる中年感が俺は大好きで、この映画もそのおかげで不親切な設計の割に退屈はしなかった。『マルコヴィッチの穴』のジョン・マルコヴィッチもそうだし、『アダプテーション』のニコラス・ケイジもそうだったけど、配役が絶妙すぎて別の役者が演じていたらどういう印象になったんだろうなあ、みたいなことを毎回考える。
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