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脳内ニューヨークのNYoLoのレビュー・感想・評価

脳内ニューヨーク(2008年製作の映画)
4.0
テーマは多分シンプル。その分、映像での魅せ方とか、演技のナチュラルさ、老けメイクを含めた美術の力量をビシビシと感じました。すごく引き込まれる作品でした。

こんなに独りよがりな人間ばかりじゃないと信じているけど、誰にでもこんな部分はあるかな。個人的には思春期だけだったと思うので、私はヘイゼル役1号と同じく、大概がハッピーな人間なんだろう。幸せなことに。

客観的に自分を見ることって、自然にできたようでそうでもないのかも。辛いなと思うとき、少し離れて自分と自分を取り巻く状況を見てみる。もう少し半径の大きい範囲で見える社会情勢を見る。過去にも目を向ける。そうやって、自分は大丈夫と思えるし、次はこうしようと考えることもできる。自己防衛だけどね。辛い、悲劇だと思い続けて誰かが幸せを運ぶのを待ってるだけなんて、何もよい結果を生まないですもんね。

なぁんてことを考えさせられた一本でした。ストーリーはさておき、倉庫に壮大な入れ子のニューヨークを作るなんて、夢があるなぁ。そしてフィリップ・シーモア・ホフマンは、全ての人間の苦悩を背負っているかのような演技が最高でした。存在するだけで作品になる。惜しい俳優さんでした。
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