ぽち

パルムの僧院のぽちのレビュー・感想・評価

パルムの僧院(1947年製作の映画)
3.4
3時間という長さだが、飽きることなく最後まで観ることが出来るのは原作の良さだろう。

込み入った人間関係や、癖のあるキャラクターなどが魅力的で見どころ。

ただ、やはり原作が書かれてから190年も経っていて、恋愛に対する考え方などが違い過ぎて感情移入はしずらい。

原作は未読だが、どうも「ナポレオンを崇拝している」とか「ワーテルローの戦いで何もできないまま重傷を負う」などが物語の骨子となっているようだが、今作ではそれよりもロマンスに重点を置いているので、スタンダールの小説とはカラーが少し違っているようだ。

主人公が当時では「愛一筋」で好感が持てたのだろうが、今の時代から見ると単なるチャラ男で、ランク的には諸星あたるとほとんど同じ。

その男が真実の愛に目覚めたと言ってもなんとも嘘っぽくて、パルム僧院に行っても一週間ぐらいで「あ、勘違いだったかな。俗世に戻るか」ってなりそう。

キャラ的に一番おいしかったのが看守のグリロ。
連続少女レイプ殺害犯だが、ラッシ法官が事件をもみ消し片腕として使っている。まったく罪悪感を憶えずに囚人を毒殺する一方、クレリアや女性を崇拝しているそぶりを見せながら、隙あらばまた…と獲物としても見ている。

彼のスピンオフを作ったら、今の時代うけるんじゃないか。っていうかこれで知能指数を倍ぐらいに上げるとレクター教授になりそう。

3時間と長時間だが、それだけのことはある作品だろう。
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