強迫観念と診断される映画廃人ことシネフィルたちの日常を垣間見て嘲笑と共感と羨望の感情が断続的に押し寄せる。「こうなったら終わり」を念頭に置いても不意に核心を突くような「映画を観ることで苦しみから逃避できるんだ」という名言や「フレームがあるからこそ見た印象が強まるんだ」という言葉にハッとし、ミッドクレジットの「芸術映画でのポップコーンの販売は禁止しろ」という悪客に対する撲滅運動には同意せざるを得ない。映画をハシゴするための分刻みスケジュールやらキセル鑑賞自慢やら映画鑑賞のための食生活改悪など愛着が湧いて仕方ないのだが、改めて「こうなったら終わり」ということを忘れてはならない。
