0000

地獄の0000のレビュー・感想・評価

地獄(1999年製作の映画)
-
圧倒的に真っ当で正しく健全な、キワモノ見世物ホラー映画。
ホラーとはこういうことをするためにある。
本来的で本質的で、本当にラディカルなホラー。
このいかがわしさ、反社会性、反モラル性……、ホラーを作る者は、またホラーを見る者はこういうことを忘れてはいけない。
意味のないおっぱいがこんなに正しさになってる映画も他にない。
『ワンスアポンアタイムインハリウッド』とかみたいにかっこつけて善行ぶってイキッたちょいワルオヤジみたいなのが映画愛とか言いながらああいうことやるんじゃなくて(あれの悪口ばっか言ってる気がするけど)、映画で「悪を裁く」なんてことは映画自体をこれぐらい悪趣味でキッチュでゲテモノな表現の中でやるのが正しい、というかそういう器の中だからやっていい、そういう器だからやっと受け止められるような行為だ、本来。だからホラーという器は必要なのだ。あるいはチープさという器、アングラっぽさゲテモノっぽさ、いかがわしさ、俗悪さという器は。何もかも等しく受け止めるために。

この後の『盲獣VS一寸法師』がビデオ撮りで学生スタッフでいくらなんでもって感じだったのに比べたらだいぶ予算規模違いそうで、ちゃんとフィルムだし美術なんかもしっかりしてるし原口智生の特殊造形もだいぶしっかりしてるし。

オウムパートの尺が長いわりに宮崎勤が少しだけでカレー事件なんか触れる程度というバランスはちょっと残念。

突然の忘八武士道は究極にアホっぽいけどその圧倒的見世物サービス精神に監督の優しさみたいなものすら感じる。
0000

0000