近本光司

一番美しくの近本光司のレビュー・感想・評価

一番美しく(1944年製作の映画)
2.5
戦時下の増産体制で、レンズ工場で働く女子工員たちの悲喜こもごもを描いた国策映画。男子の1/2の増産をめざせと命じられた女工たちは、みずから女だからって舐めてもらっちゃ困ると雇用者に訴え、2/3という目標に上方修正させ歓喜の声をあげる。ここが男子とおなじではないというところに時代を感じるが、黒澤にしてはめずらしいフェミニズム映画といえる。病に倒れる人があり、怪我を負う人があり、クニヘ帰る人がある。日々の波瀾万丈で生産量は乱高下するが、そんな女子たちをまとめあげるワタナベさんこと矢口陽子はのちの黒澤明の妻である。役どころにぴったりの聡明な顔つきが印象的な女優。