このレビューはネタバレを含みます
續姿三四郎
『姿三四郎』の続篇。
メインプロットは檜垣兄弟の復讐劇。他にアメリカのボクサーと見世物のように拳闘試合をする柔道家の関根嘉平、三四郎に救われたことがきっかけとなり修道館に入門した人力車夫の左文字大三郎などの登場人物がストーリーに絡む。
【表現技法】
・左文字が道場に入場する際の礼儀の反復。
・とっくりを相手に柔道の足技をかける。
・姿三四郎とウィリアム・リフターの拳闘試合の決着の瞬間に観客たちが静止してストップ・モーションのようになっているシーンは、演劇的なおもしろさがある。
・和尚と座禅をする場面のユーモア。
【テーマ】
柔道とボクシング、武術とショーの対比、自分の柔道が他者を押しつぶしていくことに苦悩を抱える姿三四郎。テーマはいかにも娯楽作品で特筆する点はない。檜垣兄弟の狂気もわざとらしい。ラストシーンに檜垣兄弟が口にした「負けた」もしらける。見世物興行に参加することは道場で禁じられていたが、三四郎がウィリアム・リフターとの拳闘試合の前に逆に道場の掟を全部破ることにしたところはさすがにおもしろい。