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一番美しくの映画のネタバレレビュー・内容・結末

一番美しく(1944年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

「昭和19年。全国から徴用された少女たちが女子挺身隊として軍需工場で働いていた。光学機器を生産する東亜光学工業では、挺身隊の組長・渡辺ツルが少女たちをまとめ、レンズの増産に従事していたが、やがて過酷な労働に挺身隊の結束は綻び始める。」

テーマは「勤労報国のすばらしさ」。

女性たちが自分たちの非常増産目標が男性の二分の一に設定されていることに不満を漏らし、自発的に増産目標を三分の二に引き上げるところから始まっていて、序盤からフルスロットルのプロパガンダ。

中盤では、①鈴村の病気、②山崎の骨折、③山内の発熱、④疲労の蓄積、⑤岡部と服部の口論などが発生する。⑤の口論から発展して、「山内が渡辺から特別扱いされている」と岡部が言い、③が効果を発揮して、さらに解決方法が故郷に帰った鈴村からの「感動的な」手紙になっているため、①も絡んでくる。技術的には参考になるところ。

最後の困難はツルの手違い。誤って未修正のレンズを納品したツルは徹夜で目盛修正室に籠もり、仕事をする。ツルのために祠の前で祈りを捧げる女子挺身隊のメンバーたち、作業を終わらせたツルを家に送るために男性の監督員たちも待っていてくれていた。

ツルの父親から手紙が届き、母親の訃報が知らされる。しかし、ツルは帰省を拒否する。ラストシーン、涙が溢れ、顕微鏡を覗くことができないツル。レンズ工場の設定を活かし、小道具のレンズをきちんと活用している。

実際に役者たちを女子挺身隊に入所させたということもあり、作業風景などに非常にリアリティがある。

ちなみに途中に挿入されている「タラワ」「マキン」「クエゼリン」「ルオット」のカタカナ文字は第二次世界大戦の戦地。

蛇足ながら、『一番美しく』は大日本帝国の政治的宣伝を目的とした映画です。はっきりとしたプロパガンダです。今の私たちがありがたがるものでもないです。黒澤明の権威に傷がつかないように恐る恐る触れなくてもかまいません。
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