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愛と喝采の日々のaaaakikoのレビュー・感想・評価

愛と喝采の日々(1977年製作の映画)
4.5
有吉京子の名作バレエ漫画『SWAN』に、主人公がこの映画を見に行く場面があっただけあって、クラシックバレエシーンがとにかく見ものの映画。
もう子どもの頃から大好き!な映画だけど、これ年くってから見ると刺さるなー…
誰にだって「ターニングポイント」はありますよ…わたしのような凡人にだって。だがそれは昔の話。
この作品で描かれているのは、よくある夢や挑戦のストーリーではなく「終わっていく人々」の物語です。
バレエをやめ愛する人との結婚を選んだ女は子育てを終え、バレエを選びバレエ一筋に生きてきた女は自分が主役の時代を終える。
そこで2人はもう一度出会う。

それにしても!
明るく可愛らしいシャーリー・マクレーン、かっこいいアン・バンクロフト(子どもの頃この映画見てまじで憧れた)、んだけどやっぱりエミリアが可愛すぎるよ!
酔っ払ってジゼル!可愛い!あんなのプロとして最低だけど(笑)!
あとはもう、ユーリ(ミハイル・バルシニコフ!)とエミリアの、2人のウフフなシーン素敵すぎ!!
で、そこに至るシーンが、レッスン場で2人きりの「ロミオとジュリエット」バルコニーの場!
あのような形で男女の愛を表現するなんて本当に素晴らしい。それは2人の俳優がプロのバレリーナだから成立すること。

バリシニコフ氏のステージはとにかく圧巻の一言。「海賊」は劇場で見たかった!
どれだけ高く飛ぶのか。揺らがずに一気に8〜9回転ぐらいしていたぞ。




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以下、ラストネタバレ
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ラストシーン。
最後、楽屋でみんなに賞賛を受けるエミリアに対し、エマは一人、誰にも囲まれず幕の下りたステージに立っていた。そして彼女のもとにただ一人寄り添うのはライバルだったディーディー!
エマは言う「あの子がうらやましい」
自分の子どもほどの年の子を「うらやましい」と思うのだってなんか恥ずかしいけど、それを口にするエマ。
その気持ちをわかってやるディーディー。彼女にも完全に理解できたんだろう。
それは、エミリアが挑戦した、アーノルド振付のモダンバレエを見てるときの、ディーディーとエマの表情にもすでに現れていた気がします。
そしてエンドロールは、ディーディーが生み育て、エマがバレリーナとして育てた逸材エミリアが嬉しそうに踊っている。

確かにエミリアとユーリ、若い2人の恋やパドゥドゥはすてきだけど、それがなおさらすてきだと感じるのは、ディーディーとエマ、名女優2人の競演があってこそなんですね。
おばさんたちがただ嫉妬でやりあう映画ではありません。
すてきな映画です。
名作。
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