タナカリオ

居酒屋兆治のタナカリオのレビュー・感想・評価

居酒屋兆治(1983年製作の映画)
3.4
函館で高倉健演じる藤野英治が営む居酒屋"兆治"を舞台に、しみじみと染み渡る人情劇が展開される。

やっぱり居酒屋が舞台の作品は、こうした哀愁漂う人情劇が似合いますね。今ではあまり見られなくなった裸電球と、カウンターでお酒を飲むだけでそこに空間と背景が広がる田中邦衛がいることによって、より舞台は深く染み込みます。

そして何と言っても大原麗子の哀愁感。冒頭の放火による火災の揺れる炎を背景にアップで映る大原麗子の表情は、その炎の演出を抜いても強く伝わる程で、鳥肌もの。
この大原麗子演じる英治の元恋人•さよは、作品中、一度も笑顔を見せず、深く暗い沼に落ちていく。彼女の幸せそうな様子が見えるのは、過去の英治と映った白黒の写真の中だけである。その写真によって、ラストシーンはより映える。

やっぱり昭和の名優が沢山出てる作品はそれだけでも面白い。
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