似太郎

シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛の似太郎のレビュー・感想・評価

5.0
『黄昏』や『ローズ』など良心的なヒューマン・ドラマを数多く手掛けたマーク・ライデル監督の隠れた逸品。個人的にこの監督の最高傑作だと思っている。🍂

脚本は『さらば冬のかもめ』の原作者ダニエル・ポニックサンで、やはり本作も水兵(ジェームズ・カーンが演じる)が主人公。撮影はヴィルモス・ジグモンド、音楽はジョン・ウィリアムズといった大御所が挙って参加。

マーシャ・メイスン演じる薄倖な娼婦とジェームズ・カーン演じるヘロヘロ🥴なアル中水兵との儚いラブロマンス。出航時間(シンデレラリバティー)までの期限が迫る中、育まれる二人の愛におセンチな感情を抱いてしまう。

ワシントン州の燻んだ街並みをしみじみ撮りあげるジグモンドのカメラが美しい。また、作曲家ジョン・ウィリアムズと歌手のポール・ウィリアムスによるテーマ曲も哀愁があって良い。まるで昭和の邦画のようだね。

こういう貧しくも健気に生きる庶民劇は大好物で、山田洋次や森崎東辺りの作る松竹ホーム・ドラマのようで親近感が湧く作品。個人的には同じ水平を主役に据えた『さらば冬のかもめ』よりもお気に入りの作品である。まさに温もりに溢れた珠玉の名編。🍂
似太郎

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