So

若草の頃のSoのネタバレレビュー・内容・結末

若草の頃(1944年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

これ、何かおかしい…

全編通して、歌って踊って当時の幸せな暮らしを、呑気に描いている印象を受けるだろうか。
が、よく観察してみると、どうも怪しい。
劇中では“プライバシー”が無く色々なことが筒抜けであることが、度々言及されていた。
クリスマスのダンスパーティー直前、おじいちゃんが「この家の壁は薄いのか」と言いながら部屋に入ってくる。たまたま廊下を通ったら(あるいは隣が自室という可能性もあるが)会話が聞こえてしまって、それを壁のせいにする、というのはどうも出来すぎている。むしろ、部屋の外から彼女たちの会話を盗み聞きしていた、と考える方が自然かもしれない。
そしてそのシーン以前の、長女が大佐と親密であることを仄めかす発言も…
となると、このおじいちゃん、常に盗み聞きしていて、盗聴あるいは窃視的な障害を持っているとも考えられる。
なかなかホラーなジジイである。
ダンスとは、男女の身体を重ねる営みの隠語であることは、古典的な比喩表現である。つまり彼らの行為の意味することは…
“本命”に相手にされないと、別の男と簡単に関係を持ってしまう長女と次女。
極めつけは、末っ子の異常に猟奇的な行動の数々。人形を墓に埋葬したり、死体に似せた人形をトロリーに轢かせようとしたり、泣き叫びながら雪だるまを叩き壊したり。ハロウィンを含めて、どの行為も死を連想させ、死に執着しているようにも見える。
子供ながらに相当なストレスを抱えているからなのかもしれない。その要因は、祖父か姉たちかあるいは支配的な父親なのか。
この家では、様々な“癖”が交錯している。

家族という閉鎖的な組織の中で、本来はあってほしくないもの、あるいは見たくないものが、実は常に潜んでいて隠蔽されていること。
父親の決定権は揺るがず、2人の姉妹の婚姻も結局は収束する。
だが考えてみればそれは当然と言えば当然で、そういう家族が存在していることは不思議ではない。
能天気な歌にのせて、それを暗示しているのかもしれない。
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