KAJI7

ホステルのKAJI7のレビュー・感想・評価

ホステル(2005年製作の映画)
3.5
カーテンから漏れ出る光、グラスから溢れる水、当て付けがましく扉を開けて歩く人々や、高い所から落ちていく風、月に代わって天罰を下す信号機の青。

ふとした光景にも何かから、そう遠くはない何かからの殺意が僕らには向けられている。
ホステルで出会った知らない女性はそのメトニミーだったように思えたが、僕たちを連れ去って亡き者にするあの悪魔の正体は享楽の皮を被った恐ろしい量の時間の群れだというのが、この映画を見た僕の結論でした。

時間は、環境なんかよりもよっぽど直接的に、僕らを死に向けて急かし、生まれたことの債務をキッチリと取り立てる。

時は金なりなんて言葉はヤクザ気質な現世で流行りの脅し文句だ。今日びCMでしか聞かない薄っぺらなスローガンに過ぎない。
人生に金を稼いでる暇なんて本当はない。
欲望を飼い慣らすには人の一生はあまりに短すぎる。

それを自覚したかのような主人公の行動の変化は観ていて痛ましくも勇敢なものだと感じました。
イーライ•ロス監督作品には、単なるスプラッターでは終わらない深みがあるなぁとつくづく解らされます…。

もっとスプラッターも研究したいと感じました!
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