HidekiIshimoto

からっ風野郎のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

からっ風野郎(1960年製作の映画)
3.5
wikiでこれの制作経緯を見ると三島由紀夫主演がどれだけ話題だったかが伺える。撮影裏話もこっち映画化してってぐらい面白い。自ら「限りなく無教養な男」の役を希望し本気で挑んだ文壇のプリンス。公開されてちゃんとヒット。なのに大根役者とボロクソだったそうで(まあそうだけど)じゃあお前ら小説書いてみろと三島の代わりに言っとこう。『アンダー・ザ・チェリームーン』のプリンスと同じ燦然たるぶざまさと言っとこう。けどついでに三島のwikiも覗いてみたら小説以外も含めの言論活動は目も眩む量と質。それに武道、楯の会、自衛隊訓練等の身体活動を重ねれば、一人物のわずか45年の痕跡とはとても思えずで、この映画主演も三島の生きる実践の一つにすぎないとわかる。鬼才増村保造の映画で憧れの女優若尾文子をバチンバチン引っ叩くとか、どんだけ贅沢な生きる実践だよと言っとこう。けどこの経緯と裏話読むにつけ三島の自我処理の深さに感嘆させられ、あの幕引きがまたも解けない謎として膨らんできた。もーほんと困った人。