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メカゴジラの逆襲のsmafune75のレビュー・感想・評価

メカゴジラの逆襲(1975年製作の映画)
4.2
本多猪四郎監督ゴジラ復帰作。そして事実上最後となったゴジラ作品。本多監督特有の、世間から阻害され、そことのソリの合わなさを抱え、奇形性や怪物性を内面化したキャラクターが出てくる。
それを、芹沢博士をやっていた平田昭彦が再び演じる。しかも今度はもっとマッドになっている。
事故で重症を負った娘を地球侵略を企む宇宙人にサイボーグとして蘇生させてもらい、その代わりに宇宙人に手を貸し、自身を追放した社会へ復讐を企む。
全体的にシリアスで切ない雰囲気。でも、だからといってリアルにだけ凝り固まらず、荒唐無稽な宇宙人やメカゴジラ、チタノザウルスがどこか微笑ましい。リアルタイムの世代じゃないけど、昭和の怪獣映画はこのリアルさと荒唐無稽さのバランスがとれてて、観ていて楽しい。
サイボーグの娘に関しては、造られた人間は人間じゃないのか、など後のブレードランナーの先駆けになりそうなテーマを内包していて、おもしろい。
本多監督によって怪獣とは何か、が描かれている。サイボーグ娘の「復讐と憎しみ」といったセリフから、怪獣は人間の想いを抱えている。その想いはマイナスなものだからこそ、最後はとても切ない終わりかたになっている。
色々書いたけど、とにかくキャラクターもストーリーも良かった。
ただ、桂の生きた脳細胞とメカゴジラが合体して、メカゴジラがどれくらい強くなったのかは観ていてよく分からなかった。結局机に座ってコントロールしているし。
チタノザウルスは、町中で今から必殺技出すぞ!ってポーズしてから、やるのが尻尾のひだを拡げてフリフリさせて爆風で町を破壊するの、愛らしい。
とにかく、シリアスと荒唐無稽のバランスが良かった。
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