りょう

インファナル・アフェアIII 終極無間のりょうのレビュー・感想・評価

3.8
 2作目と一緒で、ほぼ20年ぶりくらいで2回目を観ました。やっぱりトニー・レオンとアンディ・ラウの主演だと、2作目と比較しても作品のクオリティが別格です。
 あらためて観てみると、3部作は一連の壮大な物語ながら、映画としては少しずつ作風や主軸のテーマを変化させています。3作目は警察の組織を中心としたサスペンスでした。2002年と2003年の時間軸が何度も転換するところで混乱しますが、ラウの精神崩壊もあって、さらに時空を超越したような描写が少しシュールです。ちょっと不気味なヨン警視やシェンの人間関係も仕込まれていて、とてもよくできた脚本ですが、いろんな要素が反映され過ぎているので、もう少し重厚な香港ノワールらしい作風にしてほしかったです。
 リー先生の診察室は、ヤンの安息の場所として穏やかに描かれていますが、2人のロマンスも少しだけコメディ要素があって心地いいです。ちょっと唐突な図書館のシーンも悪くなかったです。
 香港のカンフー映画には残酷シーンが少なくなかった印象がありますが、その名残りなのか、この3部作も主要な登場人物が無残に殺害されてばかりです。結局のところ最後に残ったのは…。
 劇場公開された当時に観たときよりも、3部作の結末としてうまく収束した印象です。香港国家安全維持法で映画が検閲されるようになったようですが、香港からこんな秀作が登場する時代は再びやってくるのでしょうか。
りょう

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