SSS

インファナル・アフェアIII 終極無間のSSSのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

傑作香港ノワール『インファナル・アフェア』の完結編。
監督はアンドリュー・ラウ、アラン・マック、主要キャストも一作目からの主要人物は全員続投している。

ヤン(トニー・レオン)が死亡した2002年11月27日を起点にその半年前から10ヶ月後の期間で一作目では語られなかったヤンの動向とラウ(アンディ・ラウ)が如何にして無間道に堕ちるかが描かれる。

ヤン殺害に関与したことが疑われるも容疑が晴れたラウは自分以外のサムと繋がりがあった潜入者を始末することがヤンの意思を継ぐことだと捉え、行動を開始する。そんな中、保安課に所属するエリート刑事ヨン(レオン・ライ)がシェン(チェン・ダオミン)という大陸マフィアを通じてサムとの交流があったことが判明。一方で、ヨンもラウに目をつけ二人の智略合戦が始まる。

あらすじだけ読むと一作目の焼き直しに近いが本作の要はラウと共にヤンの行動を振り返っていくことにある。一作目で描かれなかった事実が判明するとともにラウがヤンに憧れたが故に自分自身をヤンだと錯覚し始めることにある。
前作までは画面で起きたことは全て事実として捉えられたのだが本作は所々、ラウの妄想が映される。更に時間軸も過去と現在を行き来するため初見では何が現実で何がラウの妄想か非常に区別しづらい。

それでも最後に判明する男達の友情とラウに待ち受ける運命の顛末を知り、一作目でヤンとラウが邂逅するに至るラストシーンは三部作を通じて物語の円環を閉じるのが非常に気持ちが良い終わり方をする。

また、本作で新登場したヨンが非常に良いキャラをしている。初見では上司や部下からの信頼は厚いが胡散臭さを持った悪徳警官に思えるのだが二度目以降では全く違った感想を抱くこと請け合いである。個人的にはこの複雑な役回りを見事に演じ切ったレオン・ライのファンになった。

1、2作目に比べて作品としての質は多少落ちるものの、完結編として綺麗に締まった理想的な最終章である。



余談だが、本作にはプロットに致命的欠陥がある。それはヨンが「ラウとサムの会話テープを持っていたのであればそれを物証にすれば簡単にラウを摘発できたのでは?」という本作が根本的に成立しない穴があることだ。
本作がヤンに憧れたラウが倒錯していき無間道に墜ちるまでを描くことをテーマとしているので仕方がないのだが……。
SSS

SSS