BOB

アダプション/ある母と娘の記録のBOBのレビュー・感想・評価

3.8
"ハンガリーの至宝"と称されるメーサーロシュ・マールタ監督が、女性監督として初めてベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した作品。

43歳工場勤務の未亡人が、不倫関係にある愛人との間に子供を望むが断られる。近所の寄宿学校に通う女生徒の面倒を見ることになる。

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社会派リアリズムドラマの秀作。子供に希望の光を求める中年女性と、結婚に希望の光を求める若い女性。家父長制に苦しみ、孤独を抱える二人の女性による疑似母娘ドラマ。

運命的な出会いがお互いの人生を好転させ、両者とも契約上は望みを叶えた。しかし、そのラストは前途多難であることを予感させるような不穏な空気が流れていた。2人で過ごしたレストランでのひとときが、幸せの頂点にならないことを祈るばかりである。

メーカーロシュ・マールタ作品、初鑑賞。社会への不満を溜め込んだ抑圧された女性達の物語。シャンタル・アケルマン監督作品にも近しいミニマルかつリアリズムな作風。過去の否定と害悪な家父長制。顔のアップショットが多用されていて、言葉以上に顔が多くを物語った。

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