マーくんパパ

今宵、フィッツジェラルド劇場でのマーくんパパのレビュー・感想・評価

3.9
フィッツジェラルド劇場で30年以上続いたラジオ公開音楽番組が終了する。その最終回ステージの模様を司会者、出演者&裏方さんたち楽屋裏を含めて失うモノへの哀惜を込め実写のようなライブ感たっぷりに描いたアルトマン監督の遺作。いつものように楽屋入りし仲間の芸人たちとたわいない会話をしながら準備する面々。裏方には保安係りの元私立探偵や身重のステージ進行係がいる。実際のラジオ番組でも長年司会を務めたガリソン・キーラーがCMソング歌ったり出演者とジョイントハーモニーしたりと際立つ手慣れた老練ぶりを発揮し観ていて心地いい。M・ストリープのジョンソン姉妹や、歌い終わって楽屋で静かに死んじゃう老歌手、下ネタ歌で顰蹙買うカウボーイ兄弟らが次々と登場、白いコートの美人天使(過去、ドライブ中にこの番組聴いてて笑った拍子に事後起こし昇天した幽霊)がアチコチ徘徊し、この劇場を買い取って番組打切りを決めたテキサス会社重役(T・リー・ジョーンズ)を引きずってあの世に戻る虚構で彩り添える。ノスタルジーに浸れる佳品です。