キッチー

エトワールのキッチーのレビュー・感想・評価

エトワール(2000年製作の映画)
3.6
300年以上続いているパリオペラ座のバレエ団はエトワールを頂点とした完全な階級社会。演目もモダンあり、クラシックあり、と多彩な舞台をこなします。
今作は華やかな舞台とは違い裏側を取材したドキュメンタリー映画です。

10代でこの世界に入り、男性45才、女性40才で引退するまで、過酷な練習と熾烈な競争を繰り広げるダンサーたち。意外に閉鎖的な社会なのには驚きますが、同世代ほとんど同じメンバーで構成される組織で競争しているため、連帯感はあっても友情は生まれにくいという。

エトワール、プルミエ、ダンスール、スジェ、コリフェ、カドリーユで構成されるピラミッドの組織の中で生きる人々、ダンスの後の後ろ姿とか、汗だくになっているところは生々しくもあり、息づかいが聞こえてくる映像が迫力を伝えてくれました。

自分が全く知らない世界に人生をかけている人がいる。そして本音の部分では、子供や家庭も持ちたいというダンサーもいたり...。
色々な立場の人からのインタビューも多くあり、とても興味深く、観入ってしまいました。

舞台に立ち完全燃焼するために、全てをバレエに捧げ、ストイックに練習に励むダンサーたち。
技術があっても知性が成熟していないと最高の演技とは言えない。年を重ねることで成熟していくのと反比例して体力が落ちていく現実。
とてもシビアな世界です。

代役の男性が舞台に立てることになって嬉しそうだったのは印象的でした。彼らもいつ立てるかわからない舞台を夢見て努力を続けていて...そういう人も含めてオペラ座バレエ団なんですよね。
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