【常識とは何か?を考えさせられる傑作アニメ】
最近、猛烈に暑かったり、いきなり大雨が降ってきたりして、 不安定な天候が続きますね!!
さて、そんな今回は不安定な天候ならぬ、不安定な人の心を表現した押井守原作、脚本の傑作、『人狼』をレビューする事にしたのですが・・・
そう言えばこの作品は以前、TWITTERでレビューしない宣言をしてました(笑)
ですがこの作品を通してどうしても皆さんに伝えたい事がありま したので・・・ご容赦くださいな!!
現代はシステム化、マニュアル化されている影響で心の揺らぎや余裕といった本来、人が持つゆとりが徹底的に排除されている社会になってしまっています。
こうしたマニュアル社会では世間の常識から外れた思想を持つ人間は異端児として一括りにされ、後ろ指を差され、無視されるなど、目に見えぬ迫害を受けるといった事象が少なからず発生します。
人間はロボットではありません。
ですので同じ事象であっても各々の感受性により、意見の相違が生じるのは当たり前です。
ですが現代はそんな意見の相違は認められない社会・・・
若い人には理解できないでしょうが、世間の大人達は自分の感性を押し殺し、社会の常識というマニュアルを理解している振りをして、毎日を必死に生きているのです!!
そしていつしかそんな大人たちは自分の意見こそが常識だと思い込むようになっていきます。
それは当然の結果です。
それまで必死になって思い込んできたのですから、自分で自分を洗脳してしまったのです。
そうした大人達は自分の身勝手な意見を社会の常識のように信じ込み、やがて他人にも自分の意見への絶対服従を強制するようになります。
こうなるともう、誰も止める事ができなくなり、その人の強い意見が社会全体の常識として一人歩きをし始める。
これが『常識』の真の姿であり、現在のあらゆる出来事にシラけた振りをし続ける日本人を蝕んでいる『全体主義』の原因なのです。
一部の人間だけが得をし、その他、大多数を日々、強要し続ける意味の無い意見や場の空気に支配された社会・・・これで果たして良いのでしょうか?
と、ここまでレビューとは関係がなさそうな堅苦しい話をしてしまいましたが、上記は本作品を理解する上で必須の重要な前提条件なのです!!
この作品の根幹には童話の『赤ずきんちゃん』が重要なテーマとして流れています。
皆さんは当然『赤ずきんちゃん』はご存知ですよね??
『赤ずきんちゃんは森に住むお母さんを訪るが、お母さんを食べた狼が待ち構えていて、赤ずきんちゃんを食べてしまう。そこを通りがかった猟師が狼を殺し赤ずきんちゃんを救い出す』
誰でも教訓を入れ込んだ素晴らしいハッピーエンドの作品だと思うでしょう!!
ですがハッピーエンドであるという思い込みが常識という枠に囚われた我々への警鐘なのです!!
思い込みを排して今一度良く考えてみてください。
誰にとってのハッピーエンドですか??
殺された狼ですか??
いえいえ、”赤ずきん”という”人間の立場に立ったハッピーエンド”にすぎません!!
そうなのです。
殺された狼からしたら最悪の結末でしかありません。
この作品は我々が普段気がつかない立場からの視点を教えてくれる傑作なのです!!
『立場が違えば考え方も結末も変わる。』
我々が”良かった”と安堵する赤ずきんちゃんの結末は、あくまでも人間の立場からの視点であり、殺された狼の立場からすると歪んだ、一方的な見方でしかないとこの作品は教えてくれます。
誰でもこの作品を見れば、常識というものが非常にあやふやで危険なモノである、という現実に気が付き、愕然としてしまうと思います。
作品の最後には、狼は赤頭巾ちゃんを殺してしまいます。
泣きながら・・・苦悩しながら・・・
しかしそれが狼として正しい行動である事は結末を見ていただければ理解できると思います。
一応、予告編を・・・
【Youtube ”予告編”】
http://www.youtube.com/watch?v=X1dxR4lsJN4
主題歌です!!
【Youtube 溝口肇 ”GRACE”】
http://www.youtube.com/watch?v=pgxvBQov5TY
(世界の車窓からとは全く違う幻想的な曲ですよ)
上記が理由なのかはわかりませんが、本作はPG12の規制がかかっており、残酷なシーンも多い事から中学生以下にはお勧めできません。
ですが、もし孤高であっても”人として正しい、考える人間であり続けたい”と思うのならば、ご覧になられる事を強くお勧めします。
因みに彼女の印象は・・・
『余りに救いがなくて落ち込んじゃうので二度と見たくない』でした!!
まあ・・・普通の人ならそう思うだろうねっ(笑)
彼女がいないうちにレビューしちゃえと思い切った・・・むうでした!!