ぺんじん

空の大怪獣 ラドンのぺんじんのレビュー・感想・評価

空の大怪獣 ラドン(1956年製作の映画)
4.7
年末の映画といえば…そう『空の大怪獣 ラドン』だね!昨年の『モスラ』もそうだけど、リマスター後映画館で上映してくれるのはありがて〜
炭鉱事故という当時の社会問題を踏まえつつ、それをスムーズに怪獣映画に繋げていくのは流石!音や影などで恐怖を高めつつも、犠牲者の死体や残骸をしっかりと見せる凄み。この子ども向け映画とは思えない描写は、戦争を経験した本多猪四郎のこだわりだと思う。周りの住民が集団で避難する様子なんかも書き割りでは無いリアルさがある。
地球温暖化や原水爆実験の話、また阿蘇山の火砕流で犠牲になる地元の農作物の話など社会的な問題をキッチリと描いているのも本当に素晴らしいんだよな。子ども向けのエンターテイメント作品にこんなにしっかりと向き合う映画は今あるんだろうか…
そしてなんといっても最高なのがラドン登場からの福岡大炎上&阿蘇爆発シーン!ミニチュアを使っているとはいえ、もうラドンの破壊力を示すような火薬の量が凄まじい!怪獣が街をボコボコに破壊する様子を見るのは本当にイイもんですね〜、と心の中のバイオレンス水野晴郎も思わずスマイル⁉︎ この圧倒的な破壊シーンと自衛隊の描写は平成ガメラシリーズに受け継がれたんじゃないかと思う。
ちょっとラドン登場までが長いというのはそうなんだけど、まぁそれは良いじゃない…平田昭彦出てるし…あと巨大昆虫人殺した割には後半フェードアウトしていっているけど、まぁそれも良いじゃない…生まれたてのラドンがヤゴを一生懸命食べている様子が可愛かったでしょうが!
またなんとも言えない哀しげなラストも良いんだよな…同じ劇場に来てた子どもの「なんも悪い事してないのに!」という言葉が年の瀬の冷えた身体にグッと来てしまった…その気持ち忘れないでくれよな…お兄さん(おじさん)との約束だぞ!
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