景コマ

空の大怪獣 ラドンの景コマのレビュー・感想・評価

空の大怪獣 ラドン(1956年製作の映画)
4.0
前半のメガヌロン、後半のラドンと、それぞれ異なる怪獣映画として十分に成立し得る演出と特撮であった。初代『ゴジラ』に比肩し得る出来であるだけに、脚本の適当さ加減が残念でならない。恐らく特撮作品史上最初の「恐怖のあまり記憶喪失になる」キャラクターを佐原健二が好演しているが、尺稼ぎ以上の意味を見出せず。

「初のカラーによる怪獣映画」を意識してか、前半のメガヌロンのシーンでは色彩を強調した画作りが多い。等身大の着ぐるみや、迷宮として機能する炭鉱という舞台設定など、実に綿密に「等身大怪獣」を作り上げている。そうして作り上げたそのメガヌロンの大群を無造作にパクパク食べてしまう雛のラドンのファーストインプレッションは抜群。

以降の特撮については百聞は一見に如かず。是非その目で確かめてほしいが、戦闘機と初遭遇するシーンのカット割りのスピーディさ、橋を崩壊させるシーンのミニチュアの精密さなど、見どころを挙げていけばキリがない。そしてそのいずれもが必見の出来だ。

ラストが「山中で炎上する2頭のラドン」という、屈指の名特撮カットで引くというクールさに痺れた!
景コマ

景コマ