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さらば、わが愛 覇王別姫のKのレビュー・感想・評価

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)
3.3
セピアからカラーに少しずつ変わる瞬間が印象的。指。修行。序盤からギョッとする場面が続く。口の中ごりごり。硝子の器。虐待つらい。繰り返される「男として生を受け」。昔は当然だったことが通じなくなる。現代にも言えること。体罰など。時代に翻弄されるという表現がぴったり。その様がこれでもかと描かれる。この人の人生に何か良いことあったっけ…振り返っても思い出せない。お腹いっぱいなのに猛暑の中あんかけスープを飲まされ続けるような…分かったって言ってるのに延々と同じ説教を聞かされ続けるような…この作品にはそういう苦しさがあった。多くの人が評価している“美しさ”を自分はそれほど堪能できず、それも172分間が息苦しかった一因だと思う。タイミングが違えば印象も変わる可能性があるので、元気とゆとりがあるときに機会があればまた観直したい。この作品を観て京劇の歴史を少し学び、京劇がこの世から失われなくて良かったと感じた。
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