さらば、わが愛 覇王別姫の作品情報・感想・評価

さらば、わが愛 覇王別姫1993年製作の映画)

霸王别姬/Farewell My Concubine

上映日:1994年02月11日

製作国:

上映時間:172分

ジャンル:

4.2

「さらば、わが愛 覇王別姫」に投稿された感想・評価

UCOCO

UCOCOの感想・評価

4.5
うわああああああああああああ!最高!⭐︎

何が最高って日本が「悪」として徹底的に描かれてること!これはどうしても日本人目線になりがちな私個人の意見でしかないけれど、やっぱり日本は少なくともここで描かれてる時代・場所では間違いなく悪として描かれてもおかしくないようなことをしてたわけで、日本にしか住んだことのない私には敵対していた国側の目線で見れたのがとても嬉しかった。。

それと、ウォン・カーウァイも好きな自分だからこういった色彩感覚はたまらない。日本映画も日本人にしか出せないような色味で作られてるのは好き。やっぱりそれぞれの国の特色、その国の人しか出せないような色味がしっかり出せてる作品は最高だな、、と!

京劇は見たことがないから普通がどうなのか分かんないけど、レスリー・チャンが姫になって舞台上で出す声。あれがまた綺麗すぎてとりあえず私も家に帰って真似してみたけど汚声と言えばいいのか死にそうなセミみたいな声しか出なかったから泣いた。

冒頭は割と「おぉ、、、」という感じの残酷なシーンが多くてそれはそれで魅せられるけど、そもそも後で調べてみたら京劇の役者たちが修行時代はどれだけ大変だったのか良い資料がパッと見だと見つけられなくてよく分からなかった。だから、この作品を見たことで知れてよかったなと思った。

歴史の残酷さが正面から力強く描かれてる影に隠れて、人間という動物の性格の醜さも描かれてるのがたまらなかった。映画やドラマではどうしても性格は美化して描かれがちで、「愛」のために自分を捨てて他者を助けようとするキャラクターが世の物語の中ではほとんどを占めている気がする。でも、この作品はそんなことない。やっぱり自分が一番大事だと思うのは当たり前のことで、究極の場面で他人と離別するという選択をとるキャラクターたちは残念とかは一切思わずむしろ愛おしかったように思う。

レスリー・チャンになる前の子役の顔が綺麗すぎて惚れ惚れしてたらレスリー・チャンになってもさほど違和感なかった。似てる子を選んだんだろうなー、
そういえば菊仙演じてたコン・リーが素晴らしすぎて、既に彼女が出た作品いくつか見たことはあるけど今回が一番魅力を感じたかもしれない。その時あまりよく考えなかったけど『レッド・ドラゴン』で彼女が日本人役を演じてたのは今思うと不服かもしれない。コン・リーに対する不満ではなく、アメリカ人から見たアジア人ってどこの国だろうと一緒なんだろうか。。これに関しては全く調べてもいないので完全に独りよがりな不満だから誰も気にしないでほしいけど笑
てか、コン・リーが山口百恵に似すぎててびっくりした。ボブと言えばいいのか?ショートカットにして正面から撮られた彼女が山口百恵でしかなかった。。

登場人物に関して言うと、実は小豆の裁判のシーンで裁判官?2人が槇原敬之と金正恩に極似だったのがジワジワきてしまった。

中学生の時鬼リピートして聴いていたレスリー・チャンの「風繼續吹」、また聴きまくり始めた自分がいます。
連日満員で高まっていた期待に応えてくれる最高の映画だった!ル・シネマの映画はあまり趣味合わないことが多いけど、これは燃ゆる女の肖像以来で史上一番面白かった(再上映なのは置いておいて)
長尺を全然生かせずに眠くさせる映画も多い中で、この作品の3時間は本当に必要な尺だったんだなと思う。ちゃんと人生と時代の変化を描いてる。大河ロマンって本当だな。
まず子役のキャスティングがすごい。成長後とぴったりイメージ合ってるし、演技がこれまた上手い。小楼とか幼少期の方が好きまである(これは大人小楼のキャラ自体がだいぶ情けない甲斐性無しなところが多いのもあるが)。蝶衣も線が細くて儚くて強くて綺麗。煙管?を口に突っ込まれて血流しながらの演技に胸打たれる。そこまで何度も男と女言い間違えないだろとは思うが。
成長後の蝶衣は本当に美しい!激情が見え隠れするのも良い。上映当時のパンフレットを見せてもらってレスリーチャンがだいぶ小楼役のこと嫌ってたのが気になった。小楼もっと違う性格になる可能性もあったんですか…?小楼があまり好きになれなかったからなぁ…。
予想外だったのが(というか事前情報で存在を知らなかった)菊仙の良さ!男性の同性愛作品だと、女性キャラは明らかな当て馬にされるかご都合主義の小道具的な「良き理解者」にされることがほとんどだが、菊仙も含めて3人の運命が複雑に絡み合ってみんな真剣に描かれてて素晴らしいな…と思った。夫婦だけでなく、菊仙と蝶衣も憎み合ってたところから相手のために尽くせるようになったりするんだよね…。小楼さんだけあまり向上が見られないが…。小石頭時代が頂点なの何…?すみません小楼アンチやめます。
サブキャラも魅力的。特に気に入ってるのがみんな大好き袁四翁と好かれてるのか知らんが小四。
袁はもう、ずるい。個性派俳優にも程がある。マスコットであり信頼の保護者だよ…。孔雀の羽?持って鏡にスライドインするところズルすぎる。裁判で毅然として蝶衣のこと守ってくれるのもズルすぎる。何もかもズルいしかっこいいし気持ち悪い(いい意味)。
小四はフレッシュでかわい〜!く、あんなかわいい顔で主人公サイドをバッキバキに陥れる何なら一番怖いヴィランになるのが良い。別に悪人ではないんだと思う。新興勢力なんだよね…。蝶衣たちに感情移入してると憎らしく見えるけど。誰もいなくなった養成所に一人残って罰を続ける危なっかしいほどの真面目さがこうなるとは。今でも真面目は変わってないんだろうな。小四、私は好きです。スピンオフが見たい。ファンアートも見たい。
オタクなのでキャラクターばかり見てしまったけれど、街の風景、衣装、美術などもとっても素敵だった。没頭できる。日本軍ケチャケチャに言われ始めたあたりでまあ戦争時だしなと覚悟したけれど、蝶衣が青木三郎に敬意を払う発言をしていたところで、すごく思慮深い監督及び脚本?だな…と感心した。
長くなりましたが、とても楽しめました。
yusuke

yusukeの感想・評価

3.5
中国の近現代史の中で翻弄された京劇という文化と、その文化と一心同体に生きた役者の愛の物語が、その出自から時代の大きな流れに抗えない人間の小さくも美しい人生として語られる。京劇の美術が美しい。
ぼんやりしたエッジの映像は幻想的で、閉じられた世界を表現するのに適している。
演目のタイトルが字幕でつくのが何度もあって気になった。
NORA

NORAの感想・評価

5.0
この世のものとは思えぬレスリー・チャンの美しさに酔いしれる3時間。もちろんお顔自体もめちゃくちゃ綺麗なんだが、何よりも表情から手付きにいたるまで、仕草ひとつひとつが魅惑的で色っぽい、艶めかしいことこの上ない(幼少期を演じた子役の演技も素晴らしい!)。激動の中国現代史を概観する大作ではあるが、基本構造は主人公と相思相愛の彼ピとライバル(嫁だったり偉い人だったり元弟子だったり)との三角関係。有り体に言えば痴話喧嘩。互いに相手の顔にメイクをするシーンとか傷ペロペロとか元弟子に役柄乗っ取られる件(二人並んだ虞姫の間で葛藤する覇王という構図だけでこの映画を観る価値がある)とか、「んもう、監督ったら分かってるんだからぁ~(はぁと)」的ご褒美シーンが湯水のごとくぶち撒けられる。蝶衣が石頭の嫁にガキっぽい嫌がらせするところとか、少女漫画かよと思いました(かわいい)。3時間の摂取(鑑賞)で少なくとも60時間は妄想が捗るので、コスパもよろしい。
それはともかく、本作は「芸」をめぐる物語である。主人公2人をはじめ登場人物たちは、いずれも自らの「芸」に殉じるがごとく、過酷な運命を辿っていく。ちょっと面白いのは、一見悪役っぽく登場する師匠や袁先生や日本軍の将校といった人びとが、いずれも(たとえ粗暴であり下衆であったとしても)「芸」に対しては誠実な態度を貫いた人間として描かれ、反面、「芸」を解しない国民党や共産党が、(歴史的には「正義」の側にいようとも)その真逆の存在として位置づけられている点である。このへんの匙加減は、香港と中国の合作映画であること、あるいは製作時期(天安門事件からまだ数年しか経っていない)的な要因も大きいのだろうか。少なくとも2022年現在では、このような作品は作れないだろう。
絵画のように綺羅びやかな装飾と背景、人形のように美しい俳優たち。しかし、この映画の画面は、常に埃っぽく、霞がかかったかのように陰鬱にぼやけている。それもあってか、物語そのものが白昼夢のように幻想的にゆらめく。あるいは、「美しいものを作り上げながら、それを自らの手で汚してしまう」この無常感、背反性は、中国という国自体がその長い歴史の中で常に抱え続けた、ある種の病理を体現していると邪推することもできそうだ。いずれにせよ本作は、中国のみならず世界映画史に残る傑作であることに疑いの余地はなく、映画における芸術を論じるにおいては、必ず振り返るべき一作と言える。
浮らゐ

浮らゐの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

本当にそこに世界があった
こんなに何度も繰り返し同じ映画を観たのは初めて 頭の中が美しく洗脳されたように、気がついたらこの映画のことを考えている私がいる...

蝶衣のあの美しさは何と言葉で表せば良いか分からない、ピッタリな言葉が見つからない
所作の一つ一つ、表情、声の出し方.....全てが本当に美しい ずっとずっと見ていたくなる 

最初に見た時は蝶衣に100%感情移入して見てたし、全てが息が止まりそうな位哀しく受け入れられなかった 
でも何度も見ている内に、菊仙の人間らしい真っ直ぐな愛にも心が震えた 弱った蝶衣を母のように抱くシーンなんか、愛そのもの

逆らえない時代の変化やそれに伴う沢山の苦悩の全てが蝶衣を舞台の上だけでなく、この世界のヒロインに、本当の虞姫に仕立て上げたと思う
蝶衣としての人生を全うしたラストは、蝶衣として生きる事が決まった時から決まっていたとしか思えない
運命には逆らえないという師匠の言葉は全てを悟っていたのか、

私の拙い言葉でこの映画を語る事は不可能でした
見てから大分経つのに気持ちが消化できず言葉が出てこない、、

最後に劇場で観られて本当に幸せでした
出会えて良かった。
私は張國榮に恋してしまいました
およげ

およげの感想・評価

4.0
簡単に言葉に言い表せない。
一回じゃ理解が追いつかない…。
戦争と演劇は切っても切り離せないものだと改めて感じた。

初めて見るのが映画館で本当に良かった。
レスリーチャンは紅がよく映えて、美しかった。
素晴らしい 大傑作
蝶衣と菊仙の物語
蔑まれる者同士の足の引っ張り合い、悲しい
LL

LLの感想・評価

4.0
三十年前にこんな名作を送り出した中国は、今は戦狼しか許せない…悲しすぎる
Jaya

Jayaの感想・評価

2.9

このレビューはネタバレを含みます

京劇役者の程蝶衣と段小楼の幼少期からの物語に1922年から1977年までの中国近代史が重なるお話。史実では覇王別姫は1922年初演らしい。

蝶衣ことレスリー・チャンが名演でした。化粧映えが凄く声の出し方が堂に入っていました。カマっ気がわざとらしく感じてしまったところもありましたが。他にも名演技が揃ってましたが、歌声が明らかに違う人なのはなあ。

時代に翻弄される京劇ということで、エピソードてんこ盛りなのはいいのですが、どうにも盛り込み過ぎてかなり無理が出ていました。とくに小楼の人格がブレブレな印象。幼少期なんかは丸ごと要らなかったんじゃないの…?

そしてカメラワークが途轍もなく残念でした。冒頭の稽古からして上辺だけで現実感がなかったです。肝心の京劇のシーンが驚く程臨場感なくて構図もキマらず全然気持ちが入りませんでした。しかも一貫してブツ切りでシーンの繋ぎ程度の扱い。芸の真髄など全く伝わらず。
演出もどうにも野暮ったく、観ていてキツかったです。障子越しのシーンが印象的にダサかった…。

美しいものを扱っているのに美しいと思えるカットは皆無でしたが、俳優陣の怒涛の演技のおかげで長尺ながら飽きずに観ていられた映画でした。
湯っ子

湯っ子の感想・評価

5.0
劇場にて鑑賞のため、再投稿。以前のレビューに加筆しています。

現在上映権を持つ配給会社の期限が今日で切れるとのことをフォロイーさんのレビューで知り、映画館へ駆け付けました。最初は「日本での最終上映!」なんて謳ってたみたいですが、日本での人気も高い作品のため、まだチャンスはあるのかも??とのこと。DVDでは鑑賞可能です。

<2022.6.30記>
この作品をスクリーンで観られる幸せ。オープニングから感極まる。
今回、私がとても心を惹かれたのは小楼の妻菊仙だった。菊衣と小楼が時代に翻弄されまくっていたのに対し、菊仙はとても主体的であったように思う。そして、どこまでも体当たりで小楼を愛した。コン・リーは、狡猾さを含んだ強さと、母性的な優しさを併せ持つ菊仙を完璧に演じ、素晴らしかった。
ラストでは、小楼がつぶやく「小豆子…」に涙が止まらなかった。

<2021.6.14記>
後に王と姫を共に演じるようになる小石頭と小豆子。
2人が子供時代に出会う京劇の劇団では、芸を仕込むためにものすごいシゴキと体罰が行われており、目を覆いたくなるシーンもたくさんあった。
まさに血の滲む修行をして、あれだけの動きができるんだ…
京劇はよく知らないが、子供の頃、よくテレビで中国雑技団を見て、呑気に「すごいな〜」と面白がっていたけど、あの子達もこれに近い感じで修行してたのかな、と思うと切なくなった。
虐待そのもののシゴキをする師匠も、子供の頃からそうやって修行をしてきたし、それが子供たちを一人前の役者にするためだとかたく信じているんだろう。

小豆子は儚げな美貌に、いつもおどおとしたような表情。でも、土壇場で凄みのある演技を見せるシーンでは、ガラリと妖艶な表情に変わる。
子役も良く、小豆子の12歳頃を演じた子が繊細なタッチで描かれた絵画のように美しかった。
何かと小豆子を庇う小石頭は、豪胆な性格で親分肌。まっすぐで、面倒見が良く優しい。
小豆子が彼を兄のように慕ううちに、それ以上の感情を持つようになるのもよくわかる。こんなん私も惚れる…笑

彼らが長じて人気役者となり、小楼と蝶衣という芸名を名乗る頃、日中戦争が始まる。
生い立ちからして波瀾万丈で、数えきれない血と涙を流した蝶衣。せっかくスターになったのに、今度は歴史の波に翻弄されるのか…と辛くなる。

さてここから、レスリー・チャンの登場である。
美しいのはもちろんのこと、仕草がたおやかで、この人にしかない色気がある。やはり大スターだ。
そして、後に小楼の妻となる菊仙が出現し、菊衣が嫉妬の炎を燃やす。
菊仙はコン・リーが演じている。
美しくも逞しく、したたかで蓮っ葉。恋敵の蝶衣と火花を散らしながらも、どこか彼を同志のように感じているんじゃないだろうか。時には彼をいたわる様子も見せる。
小楼を演じるチャン・フォンイーは、今の日本の俳優さんにはあんまりいない感じ。日本だと野球選手にいそうな雰囲気(私個人の感想です)。
子供の頃そのままのキャラクターで、男性性がすごく強い気がする。それぞれ女性性の強い2人からあれだけ愛されるんだもんね。
女性性が強いと言っても、それぞれかたちは違っていて、蝶衣はどこまでも乙女で、菊仙はどこまでも女という感じ。

激動の歴史の中、彼らのいる舞台や控室、住処の煌びやかさは変わらないまま、外の世界や舞台の周りの様子がみるみる変わっていく。
大スターだった彼らは落ちぶれ、文化大革命後には京劇は堕落として弾圧される。
群衆の前で吊し上げられる小楼と蝶衣。
子供の頃、師匠にどれだけ折檻されようとも蝶衣を庇っていた小楼が…と思うと、群衆の恐ろしさや、激動の歴史に疲弊しきった心の脆さを感じて切なかった。
この吊し上げでの愛憎にまみれた晒し合いの後、菊仙は自殺をはかる。

11年後、四人組の失脚を受けて、再び舞台に立つ小楼と蝶衣。
リハーサルで、小楼は衰えを隠せない。きっと、彼は再び舞台に立つつもりはなかったのだと思う。
蝶衣は、11年間ずっと、この時を待っていたんじゃないか。蝶衣にとって大事なことは子供の頃から同じ、小楼と舞台に立つこと。それが彼の生きる意味なんだ。
昔のような「覇王別姫」を演じることができないのなら、そして姫として死ねるなら、もうこの世に悔いはない。
蝶衣がリハーサルの最中に、物語そのままに命を絶ったのは、そんな理由だろうか。

未読だが、原作では菊仙はか弱い女性だったのを、監督の意向で映画のようなキャラクターにしたらしい。
私は映画で描かれる菊仙だったら、ここで自殺はしないんじゃないかと思った。そして、蝶衣の自殺は原作にはないらしい。
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