これまでに観てきた数え切れない映画のなかで、わたしに最も大きな衝撃を与えた作品のひとつです
物語の結末を知ってしまっているわたしは、冒頭、老いた蝶衣(ティエイー)と小樓(シャオロウ)が並んで歩く、その蝶衣が愛しげに小樓へ送るまなざしを観るだけで、溢れる涙をこらえきれない
人を愛するとか憎むとか与えるとか奪うとか
そんななまぬるい言葉ではとても言いあらわせない
愛憎とは表裏一体
清も濁もすべて併せ持つ
生まれながらにして与えられた宿命と、政治や権力によって歪められてしまった運命の重み
観終わったあとの心を突き刺すようなやりきれなさ
何度も気軽には観られない
だからこそ心に深く刻まれて忘れられない映画です