オーウェン

点と線のオーウェンのレビュー・感想・評価

点と線(1958年製作の映画)
3.0
福岡市の香椎海岸で男女の心中死体が発見された。
二人の顔のあたりに小蟹がはっている。
地元の警察は、心中として片付けようとしたが、一人の刑事が心中する者が、こんな寂しいところで死ぬだろうかと疑問を抱いた。
その勘は正しく、通産省の役人の汚職と関連のある偽装殺人だった。

時刻表を巧みに使った、松本清張の社会派推理小説の映画化で、警視庁の警部補役の南廣がいい味を出している。

容疑者が浮かび上がるが、これがなかなかしぶとい。
新興会社の社長(山形勲)と結核で療養中で、時刻表マニアのその妻(高峰三枝子)だ。

アリバイ崩しの必死の捜査が続けられていく中で、犯罪を犯す者の悲しさが漂ってくる。
だが、壮絶な終幕は、それを打ち消す。
蟹がはいまわる風景を、繰り返し出して、荒れ果てた心象を伝えていたと思う。
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