esaki

ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだのesakiのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

今まで見てきた映画の中でトップクラス
文学的、構造的映画。
ハムレットは必読
最初のコインですでに彼らの運命は示唆されている。
しかし、舞台の外側にあるものも裏側という表現を通して示唆される。
ローゼンクランツとギルデンスターンは区別が最初から最後まで付いていない。途中片方が片方を呼び、これが本当かと思いきや、ハムレットはその逆を行く。
ローゼンクランツとギルデンスターンの勘違いと翻弄される運命。そしてハムレットの思惑とその役柄から見て、ハムレットの判断が正しいと推定できる。
そんなこんなで常にズレを生じさせつつ、運命に従い物語は続く。そして面白いことにほとんどの場面で文字の書かれた紙(おそらく台本。初出が悲劇役者のところなので)が現れる。ここが物語だと強調するかのごとく。
そんな台本は船になったりプロペラになったり、紙ヒコーキになったりする。このように弄ばれはするものの、その範囲を逸脱することはできないのだ。
特に紙ヒコーキの描写は秀逸で、投げて一周して戻ってくるところを見ると、逃れられない運命(絶対に、そして円環に死ぬ運命。解脱不可能。映像作品のため)を感じた。
途中ハムレットの最後のシーンがこの映画の中盤で出てくるのもなんだか皮肉的。そしてローゼンクランツとギルデンスターンの死も描かれる。
他にも発明だったり、論理テニスだったり、見所が多く、脳は休まる暇を得ることはなかった。
本当に素晴らしい作品です。
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